特許出願前の先行技術調査

たま
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前回までのあらすじ

今注目の文房具メーカーに研究者として勤める新は 先輩研究員の颯真と研究チームを組み 新商品開発プロジェクトに挑んでいる。
新と同期入社で若手のホープと称される事業企画部の悟(さとる)がプロジェクトチームに加わった
新が考えた新商品コンセプトの技術について特許出願をするため 新と悟は特許部の瑛大と相談を開始した。
出願内容を設計するには先行技術調査が必要であるため 特許部の美人調査員 葵のもとへ相談に行くことになった。
前回

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このお話で学べること

特許調査の種類と各特徴
出願前先行技術調査のコツ
たま
一緒に楽しく学んでいきましょう!

本編


主人公
葵さんこんにちは!

特許部員
あ、新くん!?(モゴモゴ)

主人公
ごめんなさい!
何か食べてましたか?

特許部員
えっと…マリトッツォを…
お腹が空いてつい手が伸びちゃって…
(2021年度大流行のパン菓子)

主人公
ぷっ…ははは
葵さんお昼休みまであと一時間くらいですよ?
我慢できなかったんですか?笑

特許部員
ああ~!笑ったな~!
ひどいっ!

主人公
すみません…笑
葵さんは調査に没頭するから頭に糖分が足りなくなったんですよね!

特許部員
ふんっ
いまさらフォローしても遅いもん!^ ^

事業企画
こんにちは葵さん。
事業企画の悟って言います。

主人公
あ、ご紹介遅れてすみません。
悟は僕の同期です。
新商品開発プロジェクトで颯真さんチームで一緒に取り組むことになったんです。

特許部員
そうなんだ♡
颯真くんが目を付けたってことは二人ともきっと優秀なんだね!
プロジェクト頑張ってね。

事業企画
ありがとうございます!
絶対プロジェクト通して見せますよ。

主人公
(優秀ってとこを否定しないのが凄いよな…苦笑)

事業企画

葵さん想像以上に美人だな。
新さんのためなら恋のキューピットやったりましょうか?(小声)

主人公
おまっ…
頼むから余計なことすんなよ!?(小声)

特許部員
??

特許部員
ところで…
今日はどうしたのかな?

主人公
実は…
プロジェクトに出す新製品のコンセプトが決まったんです!
それで、特許出願をしようという話になって…

特許部員
すご~い♡
ということは…
特許出願前の先行技術調査のご依頼かな?

主人公
その通りです!
相談お願いしてもよろしいですか?

事業企画
あの…
せっかくなんで特許調査の種類と特徴の全体像も教えて頂けませんか?
出願前先行技術調査に限らず…

特許部員
それは良いアイデアだね♡
もちろんです!

主人公
(悟!ナイス…)

特許部員
特許調査が必要となるシチュエーションは大きく2つに分かれます。
①自社特許出願と②他社特許対策です。

事業企画
えっと…
実はオレ特許のことは瑛大さんに学び始めたばかりで…

特許部員
そっかそっか!
それなら復習も兼ねて新くんに説明してもらっちゃおうかな♡

主人公
はい!
自分達がした発明について特許権を獲得すると他社に対してその技術を使うことをやめさせられるようになります。

事業企画
競争力の高い技術を自社で独占することによって事業上優位な立場に立つってことか。

主人公
それを目的に自社の特許権(縄張り)を築く為の活動を自社特許出願と言います。


特許部員
バッチリだね♡
他社特許対策についてはどうかな?

主人公
今度はさっきとは逆の状況を考えてみます。
他社が特許権を持っている場合は…
その対象技術を使いたくても残念ながら特許権を行使されてストップを掛けられてしまいます。

事業企画
それはまずいな…。
でも、事業や研究開発を進める上でどうしてもその技術を使いたい場合もあるよな?

主人公
その通り。そういう時は…
自分達の事業実施や研究開発の自由度を確保するために他社の特許権を打破することも必要になってくる。

特許部員
それが…他社特許対策だね!

 


特許部員
さすが新くん。
丁寧に復習しているね。

主人公
ありがとうございます!

特許部員
それぞれの活動で必要となる特許調査の種類と特徴を説明していくね。

事業企画
よろしくお願いします!

特許部員
自社の権利創出に関わる入口の調査としては技術動向調査が挙げられます。

主人公
前に一度葵さんにお願いした調査ですよね!
ボールペンの研究開発を始めようと思ったタイミングで技術動向を知るための調査をお願いしました!
第6話

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特許部員
そうだね♡
自分達が進めていく研究開発領域近傍に存在している特許情報を調査して技術的知見を得ることが目的の調査です。

事業企画
特許制度は特許権を獲りにいく代償として各社が技術情報を開示してくれる仕組みですもんね。
そこから技術情報を取り入れたりライバル達の動向を察知していくことは大事ですね。

特許部員
悟くん特許のこと学び始めたばかりなのに凄いね!
ほんとその通りです!

特許部員
更に視点を拡げて…
世界の技術の潮流を掴み将来を予測するために特許情報を活用するIPランドスケープという考え方もあります。

事業企画
へぇ~面白そうですね。
確かに特許情報って経営や事業の方針決めに役立つ情報が沢山詰まっていそうだもんな~…
考え方は分かるけど実際のイメージが湧きにくいな…

特許部員
その辺は知財ランドスケープ社と特許の楽校のコラボコンテンツも予定されているようだから楽しみにしていましょう♡
IPランドスケープ

IPランドスケープによる解析や教育を業務とする株式会社知財ランドスケープ(代表取締役CEO:山内明)と 図解を駆使した知財知識の発信と普及を手掛ける特許の楽校(代表:玉利泰成)は2021年5月1日に業務提携を致しました。  […]


特許部員
話を戻すね!
自社の研究開発が進んで特許権を獲得したいような発明が生まれた場合に行うのが出願前先行技術調査です。

事業企画
まさに今回やろうとしている調査ですね。

主人公
出願した後の審査では新規性が問われますからね…
出願に関係する先行技術を調査して事前に審査突破の策を練っていくことが大切だって瑛大さんが言っていました。

 


特許部員
他社特許への対策に関する入口の調査としては侵害予防調査が挙げられます。

主人公
他社特許対策についてはまだちゃんと学んでいないので教えて下さい!

特許部員
さっき新くんが他社特許の縄張りの中では自由に事業ができないって言ってくれたよね。
だから自分達が事業をしようとしている領域に邪魔になるような他社特許が無いかをチェックする必要があるの。

主人公
なるほど!
事業をする際に他社特許を侵害してしまうことを未然に防ぐための調査ですね!


事業企画
もし万が一他人の特許権を侵害してしまうかもしれないことが分かった場合はどうするんですか?

特許部員
良い質問です♡
特許庁の審査を突破すれば正式に特許権は認められるんだけど…
その判断はかなり高度だから特許庁も完璧な審査を保証することはできないの。
そこで…特許権を潰しに掛かるという手続が用意されています。

特許部員
そのために行うのが無効資料調査です。

主人公
そっか!
審査では看過されてしまったような先行技術を探し出してきて邪魔な特許権を無効化するんですね!

 


事業企画
色んな切り口の調査があるんですね。

主人公
特許調査ってどれもやることはあまり変わらないと思っていたんですけど…
それぞれ視点が違うので調査の特徴も異なりそうですね?

特許部員
その通りです!

主人公
良ければ特徴の違いを教えて頂けますか?
まずは他社特許対策関連の調査からお願いします!

特許部員
侵害予防調査の方は抜け漏れを許さない網羅的な調査という特徴があります。

事業企画
なるほど…
自分達が事業をしたい領域にある他社特許権を見落としてしまうと侵害で訴えられてしまう可能性がありますからね…

主人公
たった一件でも見落とす訳にはいかない…まさに網羅的な調査ですね。

特許部員
一方で無効資料調査の方は狙いを定め探し出す要所的な調査という特徴があります。

事業企画
こっちの調査は侵害予防調査のような網羅性をシビアに求めないんですね。

特許部員
特許権の無効化ではたった1件でも良い材料を見つければ潰せる可能性があるから…
欲しい材料を明確にしながら要所で調査をするイメージなの。


主人公
よく分かりました!
自社特許出願の方の調査についても特徴の違いを教えて下さい!

特許部員
技術動向調査の方はズームアウト的な調査という特徴があります。

主人公
これはさっきの説明でよく分かりました!
自分達の研究開発の方向性決めや新たな技術的知見を吸収することが目的なので広く動向を掴むことが大切ですね!

事業企画
あまり細部に入り込み過ぎず俯瞰的に調査をするってことですね。

特許部員
逆に出願前先行技術調査の方はズームイン的な特徴があります。
自分達の発明が明確になっている状況なので、その技術内容に照準を絞って調査をします。

 


事業企画
ありがとうございます!
特許調査の全体像がよく分かりました!

主人公
今回はこの中の出願前先行技術調査を行うんですね!


事業企画
なぁ新…
瑛大さんはこの段階で少なくとも新規性のチェックポイントは突破できるように出願前先行技術調査が必要だって言ってたよな?
正直まだあまりピンと来ていないから教えてくれないか?

主人公
OK!まず大前提から言うと…
研究者が生み出す技術アイデアや実験結果は多くの場合「点」に過ぎない。
だけど、その技術的知見はもっと広く通用するものだから権利範囲は拡がりを持った「面」で請求するイメージ。


特許部員
そして…その希望した権利範囲の全てに対して新規性のチェックポイントをクリアすることが求められるんだよね。

主人公
はい!
ここは僕も最初勘違いしていました…
実験事実だけが新しければ良いという訳ではないんですよね…。

事業企画
なるほどな。
確かにそこは研究者の視点としては誤解し易いところかもな。


主人公
新規性でチェックされるのは、その技術がまだ知られていない新しいものかどうか…具体的には先行技術が有るか無いかで判断するんだ。

特許部員
希望した権利範囲内に既に知られている先行技術が含まれてしまうと新規性不合格になっちゃんだよね…。


事業企画
なるほどな。
審査では、希望された範囲内に先行技術が存在していたかを審査官が調査して指摘をするって訳か。

主人公
そういうこと!
もしそれで先行技術が見つかったとしても、新規性がクリアできるように権利範囲を後から修正することも可能なんだ。

事業企画
…ん?
それなら出願前にわざわざ俺らが調査する必要あるのか?

主人公
そこが俺にもよくワカラン。
…葵さん教えて貰っても良いですか?

特許部員
そこは皆疑問に思うところだよねぇ…。
じゃあ少しヒントをあげるね♡

特許部員
確かに新くんの言うように審査の中で権利範囲を修正することはできるのだけど…
それって好き勝手にできるんだったかな…?

主人公
…あっ!
そういえば前に瑛大さんから教わりました!
修正が出来るのは飽くまで出願時点で書類に仕込んだ内容の範疇ですよね!
第7話

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事業企画
ほう…!
確かに特許権は技術情報を開示した見返りに貰えるものだから出願時点に公開した書類の範疇というのは頷けるな。

特許部員
ということは出願前に調査しておかないとどういうことになっちゃうかな?

主人公
審査になってから想定外の文献が見つかると不本意な範囲に修正しないといけないかもしれないです!

事業企画
確実に後手に回るな。


特許部員
事前に近しい文献の技術内容を調査してから権利範囲を設計することが大切です。
先行技術の位置が分かっていれば、出願書類に落とし込む時にどの部分を手厚く補強すれば良いかも分かるんだよ♡

 


特許部員
最後に、出願前調査を実際に行う時の範囲の決め方について教えるね。

主人公
お願いします!

特許部員
調査では労力と精度とのバランスが大事です。
完璧を求めて網羅しようとすると調査件数がどうしても膨れ上がってしまうの…。

主人公
とはいえ…
精度を荒くし過ぎて見るべき文献を漏らしてしまったら本末転倒ですよね。

特許部員
そうなんだ…。
そのジレンマがある中で出願前にどこまで調査をしておくべきか相談することが大切なの。

 


主人公
最低ラインとしては実際に生み出した実験事実やアイデアそのものをカバーできる調査範囲になりますよね…。

事業企画
でも…さっき新が言っていたように権利範囲はそこから拡張して希望していくんだよな?
なら狙うべきラインとしては権利化を希望する発明の外縁をカバーすることだな。

主人公
どこまでの技術を縄張りにしたいのかという観点で調査範囲を設定していかないとな。

特許部員
二人とも本当に凄いね!
まさにその通りです!

特許部員
それ以上は割り切って審査で対応するということも大切です。
ここまで調査をした上でなら出願時に色んな材料を仕込んでおくことができると思う。
仮に審査で想定外の文献を指摘されても対処できるだけの引き出しが多いはずだよ。


特許部員
イメージとしてはまずは既存の特許分類を組み合わせて広めに縁取りをします。

主人公
特許分類は前に葵さんに教えて頂きましたね!
特許庁が全ての特許出願に付与していくれている共通の技術分類コードですよね。

事業企画
へぇ~!
そんなのがあるのか!
確かにそれを使えば大まかに自分達の見たい技術分野を切り出せそうだな!


特許部員
特許分類は便利だけどそれだけでは調査件数がすごく膨大になってしまうので…
絞り込みのポイントとなるのがキーワード検索です!

主人公
キーワード…ですか?

特許部員
新くんが生み出した発明の外縁を上手く捉えることができる技術ワードを教えて欲しいの。
そのワードが登場する文献をヒットさせるように範囲を絞り込んでいきます。

事業企画
そこが研究者である新が頭を絞るべきポイントってことですね。

主人公
なるほど!
良く分かりました!
頑張ります!


特許部員
それじゃあ新くんの出願前先行技術調査の範囲を相談しよっか♡

事業企画
…!
あ~…っと、そうだ。
俺この後打合せがあるんでここで抜けさせてもらいますね。

特許部員
そっか…。
頑張ってね悟くん♡

事業企画
おい…感謝しろよな。
男なら葵さんを飯にくらい誘えよな。
あとで報告ヨロシク!(小声)

主人公
う、うるさいな!
それが出来たら苦労はいらん!
でも…サンキュ(小声)

特許部員
それじゃあ打合せ始めよ♡

主人公
よ、よろしくお願いします!

 

葵と二人で出願前先行技術調査の打合せをすることになった新。
出願内容は上手くまとまっていくのか!?
葵を食事に誘うことはできるのか!?
次回へ続く。

動画で学ぶ

たま
今回の内容を特許の楽校オリジナル動画で学ぶことができます。

本来動画版の方は有償でのご提供ですが7月21日まで限定で無料公開します。
出願編は内容も濃く動画版が特におすすめです。
この機会にぜひご覧ください。

特許の楽校は、日本の研究開発力向上のために特許の知識を普及させる活動を行っています。
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