前回のあらすじ

このお話で学べること
新たちと一緒に楽しく学んでいきましょう!
この記事の評判
CROにいるときは考えたことが無かったけど、製薬メーカーに行ってからは知財との関わりも出てきて、特許について勉強する場面が出てきました。
製薬メーカーでのキャリアアップには特許の知識も役に立つと思うので、分かりやすく特許について説明して下さるブログは貴重です💡 https://t.co/FAKzTOvBwS
— のりす (@Chikennochikara) July 24, 2020
クレ-ムの話は、経営陣にも分かり易い説明だと思います!
拝読しながら、鮫島弁護士の提唱する「パテントポ-トフォリオ論」や「特許マーケティング」を思い出しました。次回も楽しみにしてますね😄 https://t.co/GcaNCL3Vmf— Sean Suzuki@ことばオ-ガナイザ- (@analyst_suzuki) July 23, 2020
特許の陣取り合戦の7つのタイプは特許を扱う誰もが知っておきたいポイントですね。
あと、『結果が「点」だけど、権利は「面」』は名言です。
物わかりの悪い発明者にはこの第3話を見せましょう。 https://t.co/VGxP6Byv6G— 野口剛史@米国特許弁護士 (@koji_noguchi) July 23, 2020
解説版のYouTube動画もおすすめですよ。新人研究者の知財教育はこの動画を見せれば完了?というような高いレベルに仕上がってます。https://t.co/4g5U0FzDQU https://t.co/VGxP6Byv6G
— 野口剛史@米国特許弁護士 (@koji_noguchi) July 23, 2020
面白いです。
リツイートします。 https://t.co/iqfVBlDFIG— 山内 明@知財、技術、ビジネス 大好き人を支えたいコンサルタント (@IPL_Compass) July 23, 2020
難解な権利範囲の説明を陣取り合戦と表して分かり易く説明されています。 https://t.co/2X9ljJDOjJ
— 山内 明@知財、技術、ビジネス 大好き人を支えたいコンサルタント (@IPL_Compass) July 23, 2020
YouTube 動画
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本編
仕事が終わり新は先輩の颯真を誘ってBarへ・・・。


先輩
マティーニがええかな。

そ、そしたら僕もマティーニを・・・。

先輩
好きなの飲み~や。笑

カシスオレンジにします。笑

先輩

お酒は好きですけど強くないんです!笑

先輩
新からとか珍しいやん。

颯真さん今日の特許の件、出願日ギリギリ負けて残念でしたね。

先輩
ありがとうな。
でも大丈夫やで。

特許は出願日負けてもそれで終わりじゃないって!
(どういう意味かちょっと分かんないけど)

先輩
今瑛大さんとこで特許のこと学んどるんか。
俺も昔教えて貰っとったで。

そうなんですね。
どうりで特許のこと良く知っている訳だ・・・。

先輩
必ず役に立つ。
頑張ってな。

先輩
陣取り合戦は始まったばかりやしな。

どういうことですか!?

先輩
その勉強はこれからやねんな。
よっしゃ少し教えたろ。

先輩
ある技術について新が出願したとする。
どこまでの範囲の特許権を貰えると思う?

それは・・・。
僕が実験で結果を出した範囲じゃないんですか?

先輩
それで納得いくか?

そりゃもっと欲張りたいですけど・・・。

先輩
実験で結果を出したのは断面が六角形の鉛筆。
それで特許権の範囲は六角形だけでええのか?
五角形の鉛筆売り出されて納得いくんか?

確かに実験したのは六角形ですけど成果はそれだけじゃない!
多角形にしたのがポイントなんですから!

あっ!?

先輩
実験結果は「点」でしかない。
でも技術のポイントはもっと広く通用するんや。

先輩
せやから特許権の範囲は拡がりを持った「面」なんよ。


正直、発明をしたら自動的に特許の範囲が決まるとすら思っていました。
どこに技術のポイントがあるのかを説明して陣地を広く認めて貰うってことですね?

先輩
多分特許向いてるで。
その通り。
発明をした後も勝負なんよ!

先輩
特許権は拡がりを持つ。
せやから2つの特許の範囲が一部重なることもある!


全く同じ特許は成立しないけど一部が重なることはあるんだ!

先輩
ちなみにな、特許権は1つや2つやない。
何件も出し合って陣取り合戦を制する!

なんかカッコいいですね。

重なった領域ってどうなるんだ?
結局誰がビジネスできるんですかね?

先輩
ここから先は明日瑛大さんに聞いてみ。
インターンの子と一緒に学んでるんやろ。
さ、飲も飲も!

先輩
俺と一緒にチーム組まへんか?
2人で絶対プロジェクト勝ち取ろうや!

僕はもちろん心強いですけど颯真さん良いんですか?

先輩
アイデア出し合って磨きたい。
それにな、朔さんの言うように俺も新はセンスあると思う。
最高の特許出そうや。

お願いします!

先輩
チーム成立!
よろしくな。


会議が長引いちゃって!

知財部員
大丈夫だよ。
理人くんと少し勉強進めていたから。

あっそうだ。
僕、颯真さんと研究チーム組むことになりました!
昨日は特許権の範囲について教えて貰いました。

知財部員
心強いね!
おめでとう!

知財部員
さっき理人くんに特許権の範囲について教えていたんだ。
同じところから勉強始められるね。

2つの特許が重なった領域ってどうなるんですか?
誰がビジネスをできるんですか?

知財部員
せっかくだから特許の陣取り合戦の全ての領域を見てみようよ!
実は自分と相手の特許の関係で7つもタイプがあるんだよ?

ぜひ教えて下さい!

知財部員
それじゃあ見ていこうか。

知財部員

大学院生
まさに技術を独り占めしてビジネスができるところですよね。


知財部員


知財部員
1つ目はお互いにビジネスができない範囲。
お互いに特許権が使えるからね。
重なっている場合は通常この状態なんだ。

分かりますけど何か勿体無いです。
せっかく生み出した技術なのに使われないなんて。

知財部員
だからもう1つ道があるんだ。
それはお互いに協定を結ぶことなんだ。
クロスライセンスと言うよ。
お互い様だから特許権を使わずにビジネスをやりましょうと取り決めるんだ。

大学院生
それはそれで勿体無くないですか?
せっかく特許とったのに。

知財部員
飽くまで特許権を使わないのはこの2人の間でってこと。
他のライバルが入って来たら特許権を使っていくよ。


知財部員
相手からお金を貰う代わりにライセンスを渡してビジネスをさせてあげるんだ。

特許権で収入を得るやり方もあるんですね。


大学院生

知財部員
敵陣内だけれど相手から借り受ける範囲だね。
相手にお金を貰う代わりにライセンスを貰ってビジネスをさせて貰うよ。


知財部員
誰でも自由にビジネスをしていいところだよ。
但し、いつ誰が特許権をとるか注意しなきゃダメだよ。


今までは漠然と特許をとるんだ!としか考えていなかったですけど・・・
特許がどうビジネスに繋がるかよく理解できました。

大学院生
企業のビジネスが感じられて刺激的でした。

知財部員
特許はね。
技術を公開しないといけないっていうデメリットがあるし実はお金も凄い掛かる。
だから、ちゃんと使える特許を出さないとダメなんだ。

知財部員
研究者が特許のことを理解して日々の研究をする方が良いんだ。


知財部員
これを知らないと、既に相手の陣地があるところに向かって研究をしてしまうかもしれない。
わざと敵陣に特許を重ねにいって対等に持ち込むってやり方もあるけどね。笑

ライバル達の研究や特許のマップを頭に入れて研究の方向を決めるんですね。


大学院生
そして、なんか知能戦で面白いです。

知財部員
まだまだ大切で楽しいこと沢山あるから一緒に勉強しようね。
今日はおしまい。
お疲れ様。


大学院生
まとめ
特許の知識は研究やビジネスに役立つなと感じた貰えたら嬉しいです。
今日の話のポイントです。
その実験結果に隠れた技術のポイントを丁寧に説明することで、広く通用するような権利範囲を認めて貰えます。
但し、それでは誰も得しません。
次のQにもある通り、ビジネス上相手と様々な交渉をする道があります。
特許権の陣地には以下の7つがあり、性質を理解してライバルや顧客と交渉していきましょう。
- 自分の特許権のみがある範囲
自分だけがビジネスをすることができます。 - 相手の特許権のみがある範囲
相手だけがビジネスをすることができます。 - 双方の特許権がある範囲
どちらもビジネスをすることができません。 - ③の場合に双方の特許権にライセンスし合う範囲
お互いにビジネスをすることができます。 - ①の場合に自分の特許権にライセンスを渡す範囲
お金を貰う代わりに相手にビジネスをさせてあげます。 - ②の場合に相手の特許権からライセンスを貰う範囲
お金を払う代わりにビジネスすることを許して貰います。 - 誰の特許権もない範囲
誰でも自由にビジネスをすることができます。
だからこそビジネスにしっかり使える特許権をとっていくことが大切です。
そうしなければ、いつのまにか相手の陣地内の研究をしていて、ビジネスに繋がらないことがあり得ます。