身近な商品・サービスと知財のページへようこそ!
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今回は、Trim株式会社の提供する、木製のベビーケアルーム「mamaro」に関する記事です。
2017年に登場して以降、日本各地で導入数を増やしているmamaro。私の住む愛知県の道の駅にも設置されていました。

この「mamaro」に関する特許出願、意匠出願、商標出願を確認できたので、本記事にてご紹介いたします。「使いやすさってどうなの?」 「知財でどのように守られているの?」 と気になる方は、是非ご覧ください。
※本記事は、2024年7月時点での調査に基づいて執筆しております。
ベビーケアルームはどんな空間なのか?「mamaro」とは?
特許をご紹介する前に、Trim株式会社の提供する「mamaro」がどんなものであるか簡単にご紹介いたします。
mamaroは木製の箱で構成されており、箱の中は赤ちゃんのおむつ替えや授乳ができる空間になっています。
最近はショッピングモールなどでも広くて明るい授乳室が設けられているところが増えました。しかし、場所によっては、広いスペースが取れない、新しく授乳室を作るのが難しい・・・などの課題が残るところも多いですよね。
私がmamaroを見つけた道の駅でも、既存の休憩スペースの一角にこのボックスが設置されており、既存のエリアを改装してベビールームを新設するというよりも導入ハードルが低いように感じました。
広さとしては、畳1枚分程度。限られたスペースの中には、赤ちゃんと保護者が過ごしやすくなるための工夫が色々と詰まっていました。

【画像引用元】PRTimes ベビーケアルーム「mamaro®」 全国での導入実績 200台達成
ボックスの形は「意匠」で保護
上記の写真のボックスの形状は、意匠登録されています。
角に丸みがあり、明るくて温かみを感じる外観。子供と一緒に立ち寄りたい、素敵な時間が過ごせそう、という印象を与えてくれますよね。

意匠登録1603087【正面図】
【意匠の物品の説明】には、室内にはソファ、椅子、テーブル等が設置されていることも記載されていました。断面図にその詳細が示されています。

意匠登録1603087【CーC断面図】
内部の設計は「特許」で保護
このボックスは、限られたスペースの中に色々な工夫がされた構造になっています。
例えば、上記の写真の通り、入口から入ると、空間の奥側に、側面に沿ってソファが設置されています。赤ちゃんの授乳などができますね。
そして、ソファに座ったユーザからのちょうど向かいにあたる場所に、モニタが設置されています。
この入口が、正面に立ってボックスの右側、もしくは左側に少し寄っているのがポイント。入口から遠い側の側面にソファが配置されており、入口の近くにモニタが配置される設計になっています。限られたスペースを有効に使い、利用する親と子が移動しやすいようになっているのですね。この設計が、特許出願されていました!

特許第6865989号【図7】【図8】
施設等において新しく授乳室を作ろうとすると、まずはスペースの確保、そしてスペース内の家具等のレイアウト設計・・・とハードルが高く感じてしまいますが、mamaroは既にスペースとして完成された空間なので、キャスター付きのこちらのボックスを使い、設置させたい場所まで移動させるだけで完了になります。授乳室の利用頻度は低くても、まったく無い場所は不安になってしまう。そんな要望にもお応えできそうな商品ですね。
なお、明細書には設計のポイントだけでなく、この空間のこだわりが更に説明されていました。
例えば、モニターはなんのために設けられているか、想像できますか?
このモニターに流す動画は、このボックスを管理する者によって選ばれます。つまり、このモニターは広告機能を担うことができるのですね。
明細書段落0036より引用
例えば、需要者は、授乳用ユニット1が設けられた施設に関する情報(施設の構造の案内や、施設で行われているキャンペーン、サービスの案内等)を表示パネル20に表示させることができる。表示パネル20に当該施設に関する情報が表示されるようにすることにより、授乳者は、授乳中、リラックスした状態で有益な情報を得ることができる。
特に授乳経験のある方は想像しやすいかと思いますが、授乳中は静かです。そして、親は椅子に座ったまま同じ姿勢を保ちます。「mamaro」の中は個室空間。ソファの向かいにちょうど設けられたモニターから流れる動画に集中しやすい環境にあるのですよね。
ちなみに、公開情報にも、「mamaro」は広告が出せる点をメリットと考えていることが書かれていました。
【参考ページ】個室空間が視聴価値を高める、授乳室サイネージ「mamaro」の実力
ネーミング・ロゴは「商標」で保護
さて、このボックスを見たときにもう一つ印象的なのが、可愛らしいロゴです。

傾いた哺乳瓶をモチーフとしていますね。哺乳瓶に少しミルクが残っている様子です。
『赤ちゃんに授乳ができるところなのかな?』と直感的にイメージできそうですね。
赤ちゃんが泣き出してしまった、そろそろ授乳の時間だ・・・と授乳できる場所を慌てて探しているときに、このマークに出会えたらホッとできるのが想像できます。
こちらのロゴマークは、商標登録されています。

商標登録6251489
まとめ
赤ちゃんとの外出を助けてくれる「mamaro」。
既に授乳室として完成されている空間をキャスターで移動させて持ち込む発想が個人的にはとても新しいなと思いました!
この「mamaro」は、特許、意匠、商標と、知的財産権をフル活用してその価値が守られていることが分かりました。

赤ちゃんとの外出がもっともっと気軽にできる世の中に変わりますように。
オモチさんが執筆される身近で楽しい記事をこれからもご期待ください!

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作家名
金田 有美子(通称オモチ)
略歴
弁理士として特許事務所で働く傍ら、身近な商品・サービスと知財をテーマに記事執筆をしています。企業知財経験もあります。
現所属先
弁理士法人IPX
https://ipx.tokyo/member/yumiko_kanada/
BAMBOO INCUBATOR 専門家メンバー
https://bambooincubator.jp/members/kanada_yumiko
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